第21回 甲斐クラフトフェア
毎年12月に開催される甲斐クラフトフェアですが、今年は特別に8月開催となります。
屋内ですので、避暑を兼ねてお越しいただければと思います。ステージやワークショップもあります。
2024年8月3日(土) 10:00〜17:00・4日(日) 9:30〜16:00
会場:山梨県立産業展示交流館 アイメッセ山梨
https://www.yiso.or.jp/craftweb/
はじめに
去る1991年、私が靴の世界に踏み入るべきか迷っていた頃、人間にとって靴とは一体何なのだろうかと考えていました。
その時に思ったことは、これからの未来、人間が靴を履かなくなるということはないだろうということ。そして、人間が身につけるモノのうち、靴ほど、未だふさわしい関係が築かれていないモノのはないだろうということでした。特に日本人は、欧米と比べ靴の歴史が浅いこともあり、単に商業主義一辺倒な大量生産により、足と靴の不幸な関係が改善されぬまま拡大続行していました。
人間の足は、一人ひとり顔が違うのと同様、みな全く違うカタチをしています。それを一つの規格に当てはめようとするのは、土台無理があることなのです。生身の足を鋳型にはめるように靴に合わせれば、数多の問題が発生します。人間にとって、ひとつの理想は、何の束縛もなく、生まれた時の裸足のまま生きてゆくことだと思います。しかし、それは現実的にはほぼ不可能であることも確かです。
だとすれば、より足にふさわしい、足がよろこぶ靴を求めていかなければなりません。そう考えた時、これはやりがいのある仕事かもしれないと一念発起し、今に至ることになりました。
未だに、というよりますます足と靴の不幸な関係は助長され、まともな靴と出会うことをあきらめた人の数は増える一方であると感じます。
私はこのことを、文明としての極めて病的な症状であると捉えています。足に合わない靴をどうしても自分は履かなければならないと信じている症状、歩くためではなく、見せるための靴を求めてしまう症状、ブランド靴やトレンド靴でなければ満足できない症状……etc、人間の足が求めているはずの、本来履くべき靴が、あまりにも流通していない現状があります。
私は“歩く”ことがとても好きです。その歩きをサポートしてくれる靴がまた好きです。当工房は、“歩くことが楽しくなる靴づくり〜足と靴の理想的な出会い”を希求する旅を、これから先も続けてゆきたいと考えています。